「心のままに嘘をつけ。人間でありたいなら。」
ピノキオ×ソウルライクというかなり異色なアクションゲーム『Lies of P』をクリアしました。
各所で既に言われている通り、アクション性からUIに至るまで、ありとあらゆる要素がフロムゲーに酷似しており、正直プレイしていて心配するレベルの作品でした(苦笑)。
これを『良く出来たオマージュ』と捉えるか?はたまた『パクリゲー』として切り捨てるのか?
難しい問題ではありますが、出来るだけフラットな視点でレビューしていきます。
【Lies of P】ライズオブP評価・感想レビュー
発売日 | 2023年9月23日 |
ジャンル | アクション |
開発 | Neowiz Games 、 Round8 Studio |
販売 | Neowiz Games |
対応機種 | PS4、PS5、Windows、Xbox ONE、Xbox シリーズ X/S、steam |
プレイ環境 | XboxGamePASS |
クリアタイム | 1周30時間前後(周回プレイで+20時間前後) |
アクション性について
ダクソというよりはブラッドボーンやSEKIROに近い!?
各所で「ダクソのパクリ」だとか「ピノキオ版ダクソ」とか言われている本作ですが、個人的には「ダークソウル」よりも「ブラッドボーン」や「SEKIRO」の方がプレイ感覚は近かったです。
理由は色々ありますが、その最たるものとして挙げられるのが『ガードリゲイン』と『フューリーアタック』の2つで、それぞれ「ブラッドボーン」の『リゲイン』と「SEKIRO」の『危険攻撃』に相当するシステムになっています。
- ガードリゲイン
敵の攻撃をガードすると体力が赤白い表示で削れる。この状態で相手に攻撃を与えると、赤白表記部分の体力をリゲイン(再び獲得)することができるシステム。※「ブラッドボーン」の『リゲイン』に相当。 - フューリーアタック
通常のガード・フレームによる回避ができない攻撃。特殊な装備を使わない限り、ジャストガード以外の防御行動でやり過ごせない。※「SEKIRO」の『危険攻撃』に相当。
この通り、両タイトルの核となる戦闘システムをそれぞれ搭載している為、アクション部分は「ブラッドボーン」と「SEKIRO」を足した様なナニカ……って感じの仕上がりになっています。
……まぁ、ここら辺がパクリって言われる最大の理由なんでしょうけど、単なるパクリゲーと切り捨てるには勿体ない仕上がりで、元々別のゲームのシステムをキメラした割にはうまくまとまってるなーってのが率直な感想です。ただまぁ、どちらもオリジナルの面白さを越えられてはいない為、パクリゲーと切り捨てる人の気持ちも分からなくは無いです。
――――あと、敵もリゲインしてくるのは流石にやり過ぎな気もしますね……(苦笑)。
体幹ゲーなのに敵の体幹が可視化されていない問題
あと、体幹ゲーなのに敵の体幹が可視化されてないってのは相当なストレスでした。
これまた「SEKIRO」の話になるんですが、「SEKIRO」とか「アーマードコア6」みたいな体幹ゲーって、体幹が可視化されているからこそ、「あと少しで体幹を削りきれるからここは無理しよう!」とか、「まだまだ削れないからここは安全に行こう……」って駆け引きが楽しめるもんだと思ってるんですが、本作はドが付くほどの体幹ゲーにも関わらず、ここが手探りなんですね。
ジャストガードを強要する事自体は別に良いとしても、どこがゴールなのか分からない状態でずっと強要されるのは流石にストレスフルだと思いません?しかも、いざ体幹が崩れたと思ったら、普通に暴れてくる奴も多いし、何なら体幹が崩れた上にタメ攻撃を一撃入れないと致命が入らないってのもよく分からないんですよね(リスクをとり続けた上に更にリスクをとらせようとしてる)。
――――まぁ、ここに関しても最終的には慣れてくるんですけど、慣れるまでにどれだけの人がふるいにかけられるんだ?って話で、これは非常に勿体ない事をしてると思うんですよね。
「でもそれがソウルライクだろ?」って言われたら確かにそうかもしれませんが、それにしたって爽快感よりもストレスの方が勝っているのは流石に問題じゃないでしょうか?
UIやゲームシステムについて
恐ろしいほど酷似!至る所がフロムゲーっぽい
ステータス画面・テキスト表記・インベントリの構成等、アクション以外のUI部分も恐ろしいくらいフロムゲーに酷似してるのは流石にどうなんでしょう?
リスペクト・オマージュと言えば聞こえは良いですが、流石に似せ過ぎな気はするんですよね…。
正直な話、本作のマイナス要素って似せ過ぎた事によって起こった弊害がほとんどなので、逆に損したまであると思ってます。実際、独自要素は結構良い物持ってますからね。
武器解体・合体システムによって自分のお気に入り武器を見つけよう!
本作最大の魅力『武器解体&合成システム』!
本作には約40種類もの武器が登場するんですが、その内29種類は刃と柄の部分を分解し、好きに付け替える事が可能です。例えば、大剣の刀身にレイピアの柄を付けてリーチの長い突剣を作ったり、短い刀身を長物の柄で補ったり等、かなり自由度の高い武器ビルドが楽しめます。
最終的には強い構成で固まっては来るんですが、手探りで強い武器を探すのはかなり面白かったです。縛りプレイとかも色々模索出来るだろうし、遊びの幅を広げるナイスなシステムだと思います。
P機関等、レベルアップ以外の成長要素が豊富なのも魅力
スフィア盤的なシステムでピノキオに特殊効果を付与していく「P機関(ピノキオの心臓)」、付け替える事でアクションを多様化させるリージョンアーム(左腕)等、レベルアップ以外の成長要素・カスタム要素が豊富なのも個人的には魅力的でした。
特に「P機関」の強化は、ゲーム難易度に大きく関わる要素で、回復アイテム・消耗品の使用回数・受け身の可否・クリティカル率など、ゲームを快適にする要素が多分に詰まっていて、ゲームを進めるモチベーションに大きく寄与してくれました。
二周目じゃないと解放できない項目などもあるので、周回のモチベも高めてくれる神要素です。
拠点でしかレベルアップができない不具合
「ダクソ」「ブラッドボーン」リスペクトである事は分かるんですが、いちいち拠点に戻らないとレベルアップできないのはやっぱり不便。しかも終盤・二周目以降はスターゲイザー(篝火)でレベルアップできる様になるので、もうそれなら最初からそうして欲しい……ってのが本音。
せめてソフィア(レベルアップ担当)の位置をコロコロ変えるのだけはやめて欲しかったなぁ…。
ストーリー・世界観・キャラクターについて
歪だが美しい?終末的な世界観とキャラクター
『石化する謎の奇病の蔓延』×『機械人形の暴走』という最悪の追い打ちコンボ!
――――そんな終末世界を舞台に、主人公「ピノキオ」が『嘘』を武器に大冒険!ソウルライクゲーの世界観が終わってるのはいつもの事ですが、本作も良い感じに終わってるのでご安心下さい!
舞台が19世紀末のベル・エポック時代のフランスという事もあり、街並み等のアートデザインは美しくて豪華絢爛なのですが、設定が設定だけに、街はすっかり廃墟化しています。奇病と機械の暴走によって一気に滅びた事もあり、所々まだ美しい所も残っている独特の世界観が何とも言えない魅力を放っています。
登場キャラクター達も魅力的で、主人公のピノキオは美少年、ゼペット爺さんはイケオジと、ピノキオ要素は残しつつも良い感じに独自改変されています。他にも薄幸の美女や眼鏡っ子鍛冶屋が出てきたり、メカ執事、人形の王等々、個性的なキャラクターが多数登場し、悲しくも美しい終末世界に彩を与えてくれています。広い目で見ると確実に滅び行く世界なんですが、拠点となるホテル・クラットには次々とNPCが集まってくるので、何だか若干楽しくもあります。
そこはかとなく感じるニーア感
1週目では伏せられていた台詞が周回によってアンロックされる『ニーア』スタイルの台詞演出を搭載。流石にそのまんま過ぎて最初は笑いましたけど、確かに演出として効果的なんだよなぁ……。
――――まぁ、良いものは良いですからね。技法として吸収する事は悪い事では無いと思います。
嘘をつく事で分岐するストーリー
道中の至る所で投げかけられる問い掛けの数々。この問い掛けの返答によってストーリーが分岐するという洒落た仕様も個人的には好きでした。ピノキオをモチーフにしている以上、『嘘』は切っても切れない要素の一つですし、うまい具合に落とし込めていたと思います。
レコード収集など、魅力的なやり込み要素も豊富
素敵なオリジナル楽曲が聴ける『レコードの収集』・『隠し武器』・『ちょっとした小ネタ』等、ご褒美付きのやり込み要素が多いのも魅力の一つ!
特に『レコード収集』は気合が入っており、全16曲ものオリジナル曲を堪能する事ができるだけでなく、聴く事で主人公の”人間性”を上昇させるという凝った仕様まで完備。人形である主人公が音楽を聴く事で機械の心臓を高鳴らせ、次第に人間に近付いて行くという胸熱展開!いいよねぇ……。
総評:俺は好きだがクソゲーに感じる人もいるだろう
俺は好きだが酷評する人の気持ちも理解できる。…そんなゲーム。
でも、世の中に溢れまくってるソウルライクゲーの中では相当出来の良い方だと思います。独自要素もちゃんと面白さを感じられますしね。
とりあえずXBOXGAMEPASSでのお試しをオススメ!
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