端的に言うと、『メタルギアサヴァイブ』は粗削りで乱雑なゲームです。
しかし、その乱雑さの中に確かな面白さと中毒性を内包しているのも事実で、少なくともゲーム本編とは関係のない”しがらみ”を理由に、過小評価され、埋もれさせてしまうには惜しいゲームです。
この記事が一人でも多くのゲームユーザー、そして、メタルギアファンへと届き、『メタルギアサヴァイブ』へと吹きすさぶ逆風を少しでも緩められれば…と、私は今、キーボードを叩いています。
メタルギアの名を冠したダークソウルの様なゲーム性
『メタルギアサヴァイブ』は、【ダークソウル風味のメタルギア】という言葉がとてもしっくりくるタイトルだと私は考えています。
未知の土地にいきなり投げ出され、右も左もわからないままに歩みを進める。道中には恐ろしい怪物たちが徘徊していて、倒すと強大なエネルギー(経験値)を落とす。プレイヤーはそれを拾い集め、それを糧として力や装備を蓄えていく。力を蓄えても未知の土地は険しく、怪物は手強い。少しずつ少しずつ歩みを進めて行く内に、アナタは大きな運命の流れの中心的な存在になっている。
…これはあえて『ダークソウル』『メタルギアサヴァイブ』のどちらにもとれるように書いたものですが、実際『メタルギアサヴァイブ』のシングルモードはこんな感じの流れで構成されています。
異論はあるかもしれませんが、少なくとも筆者はこういった印象を強く受けました。
遊べば遊ぶほどに深みを増す探索とクリエイト
【武器だけでなく拠点も自らのクリエイトによって築き上げていく】
マップを探索しながら素材と経験値を集めて新しい武器や防具を作っていく訳ですが、『メタルギアサヴァイブ』ではフェンスや足場などのオブジェクト類も作成してマップ上に配置する事ができます。
ゾンビものの映画を好む人ならば一度は見たことがある、「フェンス越しの槍攻撃」や「高台籠城からの槍攻撃」を実際に再現できちゃう訳ですが、素材や技術力が潤沢になれば、有刺鉄線に電気を流したり炎上する足場を配置したりと自由度は尻上がりに上昇していくのです。
最初はただの矢を撃っていたプレイヤーが、火矢を放ち、最終的には貫通する矢や爆発する矢を放つようになる。ビバ、極限状態の中で研ぎ澄まされるサバイバル力!
映画に例えるならば、「ゾンビ」だと思っていたら「ランドオブザデッド」になっていた的な何かです(装甲車は出てきませんが、ウォーカーギアは出てきます)。
クリエイトしたものをゲーム内に反映させるゲームは他にも色々とありますが、それをTPSに巧く反映できた成功例の一つだと思います。
雑多な要素と管理するステータスの複雑さは×
概ね満足している筆者が『メタルギアサヴァイブ』最大の欠点として挙げるのが、雑多で乱雑なシステムと管理するステータスの多さです。
プレイヤーのHPがゼロになるとゲームオーバーというアクションゲームの基本はそのままですが、『メタルギアサヴァイブ』はゲームオーバーに繋がるステータスや数値の管理がやたらと雑多です。
左から、【酸素・空腹・渇き】となり、いずれも疎かにするとゲームオーバーに直結する要素です。これに加え、攻撃や走りによって消費する【スタミナゲージ】、相手の攻撃による【けが・病気(ケガにも裂傷、やけど、打撲など種類が多い)】と、数値やステータスの管理がとにかく大変。
これら雑多な要素があるからこそ、終始緊張感が継続するという一面はあるものの、これだけ多いと煩わしさが先行するユーザーも多いだろうというのが筆者の見解です。
まぁ、サバイバルのリアリティを表現するために必要だったと言われればそれまでですが、結構ハードルを高めている部分だとは思います。
熱さも意外性もある、予想外に面白いストーリー!
正直、ストーリー部分の出来に関しては全く期待していなかったのですが、想像していたよりもずっと面白いストーリーが用意されていて驚きました。
世界観や時系列の整合性などは正直怪しい部分もありますが、緊張感・熱さ・意外性が程よく利いてて悪くない仕上がりだったと思います。
「ビッグボスの活躍の裏に、名もなきヒーローの活躍があった…」的な、まぁ定番のアレですね。
ストーリー構成は、『ストライクブラッド』で有名で、『メタルギアポータブルops』も担当されていた三雲岳斗氏と、「PSYCHO-PASS」シリーズのノベライズ作品等の吉上亮氏のお二方。
とんでもない重圧があった事でしょう…。本当にお疲れさまでした。
コナミ名物、萌えるAI(ヴァージル)
コナミと言えば萌えるAIですよね(エイダから続く萌えAIの系譜)!
本作に登場する独立支援型ユニット「ヴァージル」ちゃんも、かの伝説のAI「エイダ」に負けず劣らずの逸材でした。
「私のサポートはもう必要ないのですね?」
「生は有限であり、命とは尊いもの。そして、死は悲しいものなのですね。」
無機に宿る有機ってのは不変的なテーマですよね…(しみじみ)。
禍々しすぎるクリーチャーの正体はサイレントヒルシリーズの伊藤暢達氏
ワンダラーなどのクリーチャーに感じる既視感の正体は、やっぱり伊藤暢達さんだったのですね!
「サイレントヒル1~3」までのクリーチャーデザインを担当されていた伊藤暢達氏がデザインしたと聞くと、ワンダラーたちの禍々しさにも納得ですね。
クリーチャーデザインを伊藤暢達さん(@adsk4)にご協力いただきました。伊藤さんはサイレントヒルシリーズを手がけられており、METAL GEAR SURVIVEではワンダラーなどのクリーチャーをデザインしていただきました。 #MGSurvive pic.twitter.com/FvaUZrZ15x
— メタルギア公式 (METAL GEAR) (@metalgear_jp) 2018年2月23日
もうこれだけでもホラーゲーファンには朗報ですよ…(名前が出てきた時、凄く嬉しかった)。
メタルギアもきちんと物語に絡みます
『メタルギアソリッド5TPP』をプレイしたユーザーなら反応不可避のこのシルエット!
「サヘラントロプス」がどんな風に『メタルギアサヴァイブ』のストーリーに絡んでくるのか?なぜ、この舞台に「サヘラントロプス」が存在するのか?…気になる人は是非!!
止め時を忘れる熱中必死のオンラインモード!
【紫色の武器や防具はレジェンドの証。その上のエピックは未ゲット】
ガッツリとシングルモードが用意されているのでついつい忘れてしまいそうになりますが、本作はオンライン専用タイトル。その本質はオンラインでの協力プレイにあります。
活性化したワンダラー(クリーチャー)の襲撃を最大4人で3WAVEやり過ごすというシンプルなルール。しかし、絶妙な難易度で思わず白熱してしまうサルベージミッションは白熱必死。
ついつい止め時を忘れて時間をドロドロと溶かしてしまいます…。
面白さの本質はハクスラゲーにある
【ダンボールを空けるとアイテムゲット!この瞬間がたまらない】
オンラインで得た素材・武器・経験値はシングルモードにも反映され、シングルモードで得たものはオンラインに反映される。この双方向の積み重ねでドンドン強くなっていくのが本作最大の魅力!
サバイバルゲーム(シングルモード)でありながら、タワーディフェンス(オンライン)、しかしてその実態は、まさかのハクスラ!
レシピ&素材ゲットからのクラフトだけでなく、現物ドロップによる個体差要素と、ハクスラゲーの沼部分が色濃く存在しています(絶望)。
ただし、ステージとルール数にやや不安を覚える
今後のアップデートでルールの追加などがアナウンスされてはいますが、現状だとステージ数が少なく、レベル上げとアイテム掘りが最終的には単調化してくる可能性があります。
ここは迅速な対応でルールやステージを増やしていってほしいものですが、どれくらいアクティブに対応していってくれるのかはまだ分かりません。
面白いゲームなので是非ともアクティブな対応をお願いしたい所ですね。
セーブスロット等、課金要素に関する真実
噂になっているセーブスロットなどの課金要素についても触れないとずるいと思うので一応触れておきます。
確かに、2キャラ目を作成するには課金要素であるSVコインが必要ですが、このゲームシステムで複数キャラクターを作ろうとするのはぶっちゃけ相当マゾイです。
問題なのはキャラクター使用権よりも、クリア後に解放される「拠点採掘」での時短の為の課金要素。
この「拠点採掘」、何故かリアルタイム連動していて、WAVEの間隔がリアルタイムで24時間という謎仕様を採用しています。
このタイムラグをカットする為の課金要素がかなり露骨で皆のヘイトを集めているというのが実態。
防衛班や拠点を強固にすればNPC頼みでも行けるっぽい感じには書かれていましたが、「本当なのかなぁ~?」というのが本音です。まぁ、この課金要素は褒められたもんじゃないですね。
メタルギアサヴァイブはこんな人にオススメ
- メタルギア・KONAMIをとりまく様々なしがらみを切り離して考えられる人
- ウォーキングデッドでフェンス越しの攻防に憧れていた
- ディアブロなどのハクスラゲーが好き
- タワーディフェンスが好き
- 武器やアイテムなどをクラフトして創意工夫するのが好き
以上のいずれかが琴線に触れるなら、定価分またはそれ以上の満足度を得られるはず!
オンライン専用という部分に抵抗がある人もいると思いますが、シングルモードだけでも十分に楽しめるのでオンライン要素が苦手って人でも大丈夫です。
ただし、仕様上、オンライン環境とps+の加入は必須となるのでご注意を!
きゃすとの評価 |
総評 |
色んな意味で人を選ぶタイトルだとは思いますが、個人的な満足度はかなり高いです。メタルギアを取り巻くしがらみにとらわれながらプレイしても絶対楽しめないと思うので、そういうのが気になっちゃう人は、やっぱり避けた方が良いタイトルなんだとは思います。まぁ、嫌々やってもしょうがないですしね…。 |
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コメント
記事を読んだ感じだと7Days to Dieの様な印象受けました。
体験版を友人とやってみて、イマイチという結論を出してしまいましたがらやはりそこにハクスラ要素が加わると違った感想が出てくるのかも知れませんね。
また、マルチプレイですが、個人でキャンペーンを作成、共有できる様なシステムがあれば面白いかも知れませんね。
ステージをクリエイトして配信したりできても面白いと思いますねぇ~ 確かに体験版は不親切過ぎでしたからねぇ ストーリーモードが加わると印象は随分と変わってくると思います。あのタワーディフェンスは本編のほんの一部のシステムを切り取ったものなので…。