【映画】『怪物』感想・ネタバレ考察|怪物の正体・謝罪中の飴等、気になった点まとめ【ネタバレ注意】

映画「怪物」の感想や考察を自分用にまとめた記事です。

結構情報量多めの映画なのもあり、自分用の整理用として書き留めておきたくなりました。

まだ一回しか観てないので見落としている部分も多々あると思いますが、とりあえず行きます。

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『怪物』感想・考察

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麦野湊が髪の毛を切った理由

湊が自らの髪を切った理由。早織には校則違反と言っていたが、勿論そんな訳はなく、これは依里が湊の髪に触った事が起因していると考えるのが自然である。

いくつかの可能性が考えられるが、恐らく依里に髪をなでられたことで、自らの中の友愛以外の感情を実感してしまい、それに対する恐れや戸惑いからの行動と思われる。

湊が車から飛び降りた理由

「お父さんみたいにはなれない」

自らの中に存在する依里への気持ちが徐々に確信に変わりつつある中、「普通で良い。普通の家庭を持ってほしい」という母の発言・願いが湊を追い詰める形になってしまった結果の飛び降り。

勿論、早織にはそんなつもりは毛頭ないのだが、自分の中の感情に恐怖し続けている湊にとっては、とても重く苦しい願いであった事が想像できる。

「死んでしまった父の代わりにお母さんを大事にしなきゃ!僕がお母さんの期待に応えなきゃ等」

優しい湊の事なので、そういった自責の念もあったのではないだろうか?

湊は何故嘘をついたのか?

「お前の頭には豚の脳が入っている」

これは依里の父が依里に対して言った言葉だが、なぜ湊は保利に言われたと嘘をついたのか?

まぁ実際の所、湊は誰にも言われてないですし、本当の事を言って依里との関係がバレる訳にもいかないですから、咄嗟に出た名前がたまたま保利先生だったって事なんでしょうね(可哀想)。

湊たちからの保利先生の評価自体はどちらかというと良い方でしたし、甘えやすかったってのもあるかもしれませんね。

校長は本当に孫を轢いてしまったのか?

校長が子供に足を引っかけた理由。これは早織視点での出来事なので、基本的には行き過ぎたミスリード演出の一つだと思われるが、それっぽい理由を付け加える事は出来る。

「元々子供が嫌いだった」「実は孫も故意に轢いた」

等の飛躍した考察もできなくはないが、元々子供が嫌いな人間が小学校の校長を務めるというのも違和感があるし、故意に孫を轢いたってのは以ての外なので考察からは除外。―――となると、やはり旦那が起こした車による事故(孫を轢いてしまった)事がきっかけとなり、精神的に不安定になっていると考えるのが自然ではないだろうか?

「孫もこんな風に燥ぐ年頃。なのにあの子は死んでしまった……。」

本来あってはならない事だが、そういった負の感情が行動として出てしまった可能性は考えられる。

あと、実は夫ではなく校長自身が孫を轢いたという疑惑についてだが、これに関しては正直何とも言えない。

湊の「嘘をつきました」という発言に対する「おんなじだ」が何を指すのか!?

―――もうこればっかりは校長や校長家族しか知りえない事です。

ただ、拘置所での旦那さんとの面会シーンに感じた何とも言えない違和感。あれはいったい何だったのか!?何故お菓子泥棒の話をあんなにニコニコしながら受け答えしていたのか?

これに関しては一つの仮説を立てる事が出来ると思っていて、校長の旦那さんには元々認知症の気があり、その症状が事故によって進行してしまったのではないでしょうか?

なぜ自分が拘留されているのか理解しておらず、何なら孫を轢いてしまった事実すらもはっきりとは覚えていない。あのフワフワした会話からはそういった背景を感じずにはいられませんでした。

追伸:そういえば、校長は結構不可解な行動が多いキャラでしたね。靴箱でのガム取り、孫の写真の角度、あんたが学校を救うんだよ……発言等、過剰な演出で怪物感強めになっていた印象です。

謝罪中に保利先生が飴を食べた理由

これは、高畑充希演じる保利の恋人「鈴村広奈」が前日に手渡した飴と発言がきっかけ。

……なのだが、明らかにミスリードを誘う為の雑な演出と、その言い訳の為の雑な伏線である。

普通の大人なら謝罪のシーンで飴を食べるなんて事は絶対にしないし、この描写には明らかに違和感を感じる。分かり易く保利先生を『怪物』に見立てる為の演出ではあるが正直やり過ぎである。

緊張からおかしなことをしてしまったという言い訳も成り立つかもしれないが、それでもやっぱりここの保利先生の行動は不可解過ぎます。

女の子が告げ口をした理由

タンバリンの片付け役を湊と依里の二人に誘導したり、依里の机を拭いたぞうきんを湊に投げつけたり、猫の死骸に関する嘘の告げ口をする等、やたら目立つ女の子の存在を覚えているだろうか?

周囲よりもかなり大人びた雰囲気の女の子(名前は忘れた)なのだが、あの子、よく見るとBL小説みたいなの読んでるんですよね……。

いや、これだけで断定する事はできませんが、湊と依里の二人の関係に薄々気付いていた可能性は十分にありそうですし、何なら二人の関係を推していた可能性も微レ存……!?

もう一つの可能性としては、二人の関係を把握しつつ、その中で湊に対して淡い恋心を抱いていたパターンもあり得ると思っています。それならば、猫の死骸について保利先生に告げ口をしたにも関わらず、その後撤回した不可解な行動にも説明が付くので……。

もしかしたら、ここにも描かれていないもう一つのドラマがあったのかもしれません。

花言葉の意味

カンヌで2冠!是枝裕和監督『怪物』黒川想矢&柊木陽太、秘密基地の本編映像

この動画の冒頭のシーンで依里が口にする花の名前の真意

  • ヤマブキ:「崇高」
  • オダマキ:「愚か」
  • オドリコソウ:「隠れた恋」
  • クサノオウ:「思い出」「私を見つけて」「枯れた望み」

もうこれだけで胸が締め付けられそうですね。ホント勘弁してくれ……。

火災の犯人は一体誰だったのか?

  • 冒頭:河原を歩く依里
  • 校長とのすれ違いざまにチャッカマンを落とす依里
  • 猫の死骸を火葬する際にチャッカマンを取り上げられる依里
  • 火災当時、ガールズバーに父親がいたという発言
  • 火災当日、依里は深夜2時に寝たと湊に言っていた 等

確かに依里が放火犯である可能性は高そうですが、これも正直確証はありません。

そもそも、あんな人通りが多い繁華街に小学生が一人でいたら目立つだろうし、チャッカマン程度の火力で全焼クラスの放火なんて出来るのでしょうか?

最終的に二人は生きてる?死んでる?

これはワザとどっちにでもとれるように演出している為、正直受け手によって異なるポイントだと思います。……なので、これは私の個人的な意見だと思って読んでください。

  • 早織と保利先生の捜索では発見シーンは無かった
  • 依里は父の虐待によってかなり衰弱していた
  • 超大型の台風の中を秘密基地まで自転車で行動
  • 列車の中とは言え、土砂崩れに巻き込まれた

状況だけで見ると限りなく死の影が濃厚って感じなんですが、死んだと断定する材料も無い絶妙なラインで、正直分かりません!なので、これは筆者の願望です。

「二人は生きてる!」

そもそも、二人はどれだけ過酷な状況になろうとも、真の意味で死にたいと思っている描写は一切なく、常に全力で生きていました。そんな二人の結末が『死』であるはずがない!

「生まれ変わったのかな?」「多分そういうのは無いよ!」

筆者は二人の発言をそのままの意味で受け取りたいと思います。

『怪物』の正体とは一体何だったのか?

結局『怪物』とは何だったのか?誰だったのか?

麦野早織(湊の母)視点では保利先生を筆頭とした学校が、保利の視点では湊の母や世間、そしてかつての同僚たちが、湊の視点では自分の中に芽生えた違和感(自分自身)が、それぞれ『怪物』であるかの様に描かれていましたが、彼らは本当に『怪物』だったと言えるのでしょうか?

確かに行き過ぎた言動や行動はあったかもしれませんが、登場人物は基本的には善良な人ばかりですし、少なくとも真の『怪物』と呼べる人間はいなかった……というのが筆者の率直な感想です。

―――では、『怪物』とは一体何だったのか!?

その答えは意外とあっけないもので、作中で湊と依里が遊んでいた「怪物ゲーム」が全てを現しています。結局、断片的な情報を一方向から見ただけでは、その人を完全に理解する事なんてできない。主観次第全ての人は『怪物』であり、それと同時に『怪物』ではない。というのが私の見解です。

……あ、でも、中村獅童さんが演じていた依里の父は結構な『怪物』に見えましたね(笑)。

まぁこれも、依里の父の視点パートがあれば、また印象が変わってたと思うので、やはり『怪物』は存在するけど存在しないってのが私の答えです。

正直ミスリードを誘いすぎ!でも傑作!

正直な話、「ミスリード誘いすぎ!露骨に表現し過ぎ!」

―――って思う部分も多々あったんですが、そこを差し引いてもとても良く出来た脚本と演出ですし、終盤の湊と依里の二人のシーンは素直に感動させられました。

もうラストなんて、綺麗な風景と坂本龍一さんの音楽で心の中滅茶苦茶にされますからね(笑)。

……いやぁ、良いもの観せてもらいました。あと2回は劇場で観たいですね!

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