【テイルズ オブ アライズ|評価・レビュー】シリーズ最高峰のバトルシステム!欠点はシナリオ?

「テイルズ」シリーズ久々のマザーシップタイトル『テイルズオブアライズ』をクリアしました。

結論から言うと、前シリーズで色々問題があった中でのリリースにもかかわらず、発売後の評判はとても高く、シリーズ過去一と評する人も多い傑作でした。

……が、個人的には、良作だからこそ「勿体ないなぁー」と感じる点も多かったのも事実であり、シリーズの更なる飛躍の為にも、駄目な所は駄目と示しておこうという考えに至りました。

なので、この記事には結構辛口評価を下している部分があります。中には気分を害す人もいらっしゃるかもしれないので、予め覚悟の上でお読みください。

なお、一部本編のネタバレを含むので、ネタバレが嫌な人はバックよろしくお願いします。

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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テイルズオブアライズ:感想・レビュー

発売日
2021年9月9日
※Steam版:2021年9月10日
ジャンル
心の黎明を告げるRPG
対応機種
PlayStation®4 / PlayStation®5 /
Xbox One / Xbox Series X|S / STEAM®
公式サイト
https://toarise.tales-ch.jp/
クリアまでのプレイ時間:約45時間
やり込み含めると55時間前後

筆者のプレイ環境:PS4

アライズの良かった点:高評価点

まず最初に良い点からご紹介!個人的に推したい本作の良点は以下の5点。

・分かり易くキャッチーな導入
・魅力的なキャラクター
・爽快で奥深さのあるバトルシステム
・超美麗3Dグラフィック(キャラ・マップを含む)
・遊びやすく配慮されたあれやこれ

物語の導入が秀逸

記憶と痛覚を持たないダナ人の奴隷・アルフェンが、触れるもの全てに痛みを与える〈イバラ〉の呪いを持つ訳ありの女・シオンと出会い、利害の一致から奴隷解放を目指す物語。

奴隷解放を目指すというシンプルな導入ながら、その登場人物を対比的に描く(ダナ人・痛覚が無い男とレナ人・痛みを与える女)事で、プレイヤーの興味をうまく掴んでいるのがマジでうまい!

痛覚を持たない男と痛みを与える女が協力し合うって……もうその時点でドラマを感じますもんね!

あと、切り札である『炎の剣』の設定が本当に良い味出してて、痛覚が失われているから燃え盛る剣を振るう事が出来るって厨二心くすぐり過ぎだなぁ~って思いました(小並感)。

主人公サイドのキャラクター性やキャラ同士の距離感が秀逸

まぁ、テイルズってキャラクター自体は大体毎回良いんですけど、今回はホント良かったですね。

アルフェンはメンタル強すぎな武器フェチだし、シオンは天下無敵の腹ペコヒロインだし、リィンウェルは可愛い妹属性だし、ロウは良い奴だし、キサラは世話焼き釣り美人だし、ティオハリムはKY褐色イケメンだし、もう皆個性的でキャラが立っててとても良かったです。

普段割とスキットは飛ばす方なんですが、本作は飛ばさず全部見ちゃう程でしたからねぇ……。

あと、根底に人種差別がある世界観だけあって、序盤仲間同士でギスギスするシーンが多いんですが、雪解けの様に少しずつ分かりあえて行く流れも作風にマッチしてて良かったです。特に、シオンが仲間たちに少しずつ心を開いていく流れは秀逸でした。キャラクターの魅力に重きを置いている人は期待してくれて良いと思います。

狭すぎず広すぎずな絶妙なマップデザイン

狭すぎず広すぎず、飽きがこないギリギリのサイズのマップデザインが秀逸でした!

本作は中型以上の雑魚敵が強めに設定されているので、更にダンジョンが広いとなると流石に面倒くさいゲームになってしまうので、マップは比較的コンパクトに収めたと予想できます。あと、横に広いマップよりも縦に長い立体的なマップが多かったのも、退屈しない要因になっていた気がします。

これはダンジョンだけに留まらず、フィールド・街等にも該当していて、ちゃんとプレイヤーが把握しきれるサイズ感に収まっていてとても良かったです。

実質ベンチが存在しない秀逸な戦闘システム

『Tales of ARISE』バトルアクションプレビュー動画

本作は、テイルズシリーズ過去一と言っても良い位に戦闘システムが秀逸で、褒める所がとにかく多く、綺麗にまとまらなかったので、システムごとに解説・褒めちぎっていきます!

褒めちぎり要素①:CPシステムの採用
本作にはCP(キュアポイント)という回復行動に纏わるシステムが採用されていて、ここが従来までのMPの代わりの様な立ち位置になっています。「じゃあ攻撃スキルは何を消費するんだ?」って疑問が出てくると思いますが、攻撃スキルは時間の経過などで自動回復するAG(アーツゲージ)を消費するだけなので、実質ノーコストで使用する事が出来ます。従来までのテイルズシリーズだと、消費を抑える為に雑魚敵を通常攻撃のみで切り抜ける……みたいな状況がチラホラあったと思うんですが、CPシステム導入のおかげで、攻撃面は常に全力を出し続ける事が出来るようになりました。その分、雑魚敵も強く調整されているんですが、通常攻撃のみの地味な戦闘を繰り返すってホント楽しくないので、これはとても良いシステム導入だと感じました。
なお、その分、CPを回復するハードルは高く設定されており、グミの価格がスーパーインフレしています。お金や回復アイテムで難易度を調整してるって訳ですね。※パイングミ1個9000ガルドは衝撃!
褒めちぎり要素②:カウンターレイド
ギリギリ回避したりギリギリガードしたりする事によるカウンターアクション。これがマジでチート級に強い!どれくらい強いかというと、秘奥義を含む相手の攻撃を理論上ほぼ全てやり過ごせるレベルの強さ。これだけ聞くと「とんだヌルゲーだな…」って思うかもしれませんが、この最強アクション込みで難易度調整されている節があるので、ミスると瀕死級のダメージを喰らうシーンが度々用意されています。これにより、リスクとリターンのバランスが拮抗し、常に一定以上の緊張感が成立するバトルになっています。なお、カウンターレイドの受付自体は結構ガバイので、プレイヤーは「俺うめぇぇ!」をインスタント感覚で体感できる仕様になっています。
褒めちぎり要素③:ブーストアタック
AGの他にBG(ブーストゲージ)という攻撃やカウンターレイドによって溜まっていくゲージが存在するのですが、これはキャラクターごとの固有特性を発揮する為のスキル「ブーストアタック」を発動する為のゲージになっています。ブーストアタックにはキャラ事に個性が存在し、”アルフェン「HPを消費し高威力かつダウン性能が高い技」、シオン「 飛行する敵を打ち落とす」、リンウェル「詠唱キャンセル&ダウン」、ロウ「装甲破壊&装甲持ちをダウン」、キサラ「突進する敵をダウン」、テュオハリム「 回避する敵に回避無効&ダウン」”と言った具合で、それぞれ役割が用意されています。これを有効活用できるかどうかで戦闘の快適さは天と地ほど変わるので、かなり重要なシステムです。なお、ベンチキャラも十字キー1つで即座にブーストアタックを放つことができる為、4人PT制にも関わらず6人で戦っている感覚が強くなる要因にも繋がっています。RPGでベンチがいないってのはホント素晴らしい事だと思うので、これはGOODでした。
褒めちぎり要素④:ブーストストライク
端的に言えば合体技。キャラクターの組み合わせごとに技が用意されており、小気味良い台詞と共にカッコイイ必殺技が放たれます。大体戦闘の〆に放つことが多い為、フィニッシュブローと言った感じですね。筆者のお気に入りは「コチコチハンマー」。
これら要素に絶妙なレベルデザインが加わる事で、神がかったゲームバランスが成立しています。
人によっては難しすぎるという意見もあるみたいですが、レベル上げや装備品等による対策もちゃんと機能しているので、アクション戦闘が苦手な人も思考する事で突破できる様に作られています。
まぁ、どうしても無理って事なら、オプションでいつでも難易度を下げられるので、「きついなぁー」って人は素直に下げちゃってもいいとは思います。……が、本作の面白さの6割くらいは戦闘の面白さに集約してると思っているので、出来れば頑張って欲しいかなーって気持ちはあります。

DLC抜きでも十分に楽しめるビジュアルアイテム数

水着やコラボコスチューム等は有料DLCの領分ですが、ちょっとした小物系とかだったら大体本編内で収集できるようになっていたのは良かったです。本作は3Dのキャラクターモデルがとにかくよく出来ていたので、小物系で体験してそのままDLCコスへ流れる良い導線が出来ていたと思います。

あと、ビジュアルアイテムの収集がそんなに苦じゃないのも良いですね(フィールドに点在するフクロウを探すだけでご褒美が貰える仕様)。

全く苦にならないサブクエスト

サブクエストが全く苦じゃなかったのも個人的に良かったポイントです。

RPGのサブクエストって、全部やるか全くやらないかの二択になりがちなんですが、本作は一度も苦に感じずに全てコンプリートする事が出来ました。

理由としては、クエストボリュームや難易度が程良い・一か所に点在するクエスト量が程良い・クエストクリアの報酬がちゃんとご褒美になっている等々、まぁ簡単に言うと、色々と丁度良い塩梅だったって事ですね。あと、収集系のお使いクエストが、既に持っているとクエストを受けながら完了する仕様だったのも親切でした。やはり、作業である事を感じさせない配慮の有無はデカイです。

あと、本作はファストトラベルが比較的快適な部類だったので、それもサブクエストの煩わしさを軽減してくれる要素になっていたと思います。

Hello, Again 〜昔からある場所〜はマジで名曲

Hello,Again~昔からある場所~ -Tales of ARISE ver.-

テーマ曲として「Hello, Again 〜昔からある場所〜」のカバーをチョイスしたセンスに脱帽!

ぶっちゃけ、PVでこの曲が流れたから興味を持った人……滅茶苦茶多いと思うんですよね!

勿論、My Little Loverの原曲も好きなんですが、 絢香さんのカバー最高でした!

3Dモデルが本当によくできている


▲このグラでぬるぬるキャラが動くので本当に凄い

本作は本当に3Dモデルが良く出来ていましたッ!

テイルズといえば、OPを含め、本編中で流れる超美麗アニメーションが売りの一つになっていますが、本作に限って言えば、キャラクターの3Dモデルや背景が本当に良く出来ていて、アニメーションと普通に肩を並べる程の仕上がりだったと思います。


▲誰もがスクショしたに違いない超かわいいシオン

特にキャラクターの表情の豊かさは圧巻の出来なので、是非じっくりと見てみて欲しいです。


▲ちょっとした表情の機微までちゃんと表現できているのが凄い

ゲームが純粋に安定している。どこでもセーブ!オートセーブも頻繁にある

フリーズ、進行不能バグ等、理不尽な不具合に遭遇する事もなく、最初から最後まで快適に遊ぶことができました。「ロードは多少長いかな?」と思う所もありましたが、筆者はPS4でプレイしているので、「まぁこんなもんかなぁ……」といった印象。

セーブ自体もどこでもできる親切設計だし、オートセーブも頻繁なので、セーブのし忘れてで泣く…なんて事も起こらないので安心です。

アライズの駄目だった点・不満点:低評価点

個人的に不満に感じたのは以下の4点。

・設定の割の脚本や演出が弱い
・スキル取得がワクワクしない・取得画面がダサい
・クラフト要素が死んでいる
・敵キャラクターに魅力的なやつがいない

設定の割に脚本や演出が弱いと感じた


▲ヴォルラーンが出張ってくる辺りからかなり怪しくなる

初期設定は滅茶苦茶良いのに、その割にストーリーが弱いと感じました。

特に、物語的に最高潮を迎える第二部以降の展開が非常に駆け足で、謎とされていた部分も割とあっさり明らかになり、感動や余韻に浸る暇もなくクライマックスを迎えてしまいました。

あと、設定から逆算した展開がやたら多く、メタ的な視点が透ける事が多かったのも、ストーリーに夢中になれなかった原因の一つだと考えます。

RPGって、多少脚本が弱くても演出次第で案外誤魔化せたりすると思うんですけど、本作は演出面に関してもちょっと弱めだったので、ストーリーの弱さをカバーする程のパワーは無かったですね。

途中まではホントワクワクする展開の連続だったので、後半肩透かしを食らってしまった感は否めません。

スキル取得画面が機能的でもないし格好良くもない


▲お洒落でもなく機能的でもないのは個人的に残念

スキル取得画面が滅茶苦茶ダサい!

いや、別にダサい事自体は別に良いけど、それなら機能的に作ってくれ!とは思っちゃいます。

煩雑に横に並んでいるだけで何がどこにあるのかも把握し辛いし、お洒落でもないし、ここは本当に勿体ないポイントでした。※もしかしたら本作で一番不満なポイントはここかも?

例えば、アルフェンだったら「王の紋章」、シオンなら「巫女の紋章」、ティオハリムなら「イルルケリスの家紋」が完成するとか、そういうお洒落なのできるじゃないですか!

そうじゃないならせめて、「こっちに進めたらあのスキルがとれるけど、パッシブ系は裏切らないしな~」みたいな遊びをスキルシステムに持たせてほしかったです。※アンロックすればどこからでもとれるってシステムの方が自由ではあるけど、ちょっと単調すぎる。

味のしない武器・アクセサリー作成要素

武器やアクセサリーのクラフトって本来なら滅茶苦茶楽しい要素のはずなのに、本作のクラフトは無機質でとても作業的でした。システム自体は素材を収集して作成するありふれたものですが、素材を集めている感覚も薄いし、クラフトしている感覚が皆無だったんですよね。

まぁ、逆に言うと素材集めしなくてもテキトーにそれなりの武器を揃えられるシステムとも言えるんですが、何というか「これ作りたい!」って気持ちに全くならなかったので、感覚的には店売りの武器を買っているのと大差ないレベルでした。

これはアクセサリーの作成・スキル抽出も同様で、武器ならチャチャッと一番上の奴をキャラごとに作る、アクセサリーなら作成して素材をぶっこんで強化・移植して終了!

折角のクラフト要素ですし、個人的にはもっとこだわって欲しかったです。例えば、モンハン方式みたいなツリー式にして、派生が可視化できるとワクワク感も大分違ったんじゃないでしょうか?

あと、折角アルフェンに武器フェチ、シオンにお洒落って個性を持たせているんだから、最終的には自分たちでクラフトできるようになるサブクエストとかあっても良かったかもしれません。

敵キャラクターに魅力が無い:ヴォルラーン君もっと頑張れ


▲見た目は良いけど、本当にヴォルラーン君にはがっかりさせられました

味方キャラクターはあんなにも魅力的なのに、何故こんなにも敵キャラが魅力的じゃないのか?

これは、ストーリー的にフォーカスし易い敵キャラクターがいなかったのも理由の一つだとは思いますが、一番の原因は、ライバルポジであるヴォルラーンがなんかよくわからん奴だからですね。

ヴォルラーンは、言わば仲間たちと出会ず王の力に溺れてしまったアルフェンってポジションのキャラクターなので、掘り下げようと思えばいくらでもできたと思うんですが、何故か全く掘り下げられなかったので、ホント良くわからん奴でした。

バックボーン等なく、ただ思うがままに力を行使する……みたいな不気味さみたいなものを狙ったのかもしれませんが、それにしたってパンチが弱いし、全然刺さりませんでした。

別にお涙ちょうだい設定が欲しかった訳では無いですが、もう少し掘り下げても良かったのではないか?……と言うのが正直な感想です。

経験値倍等のDLCについて

私も少し前までは、「DLCによる公式チート等邪道!RPGは自らの力でやり込んでナンボ!」ってタイプのゲーマーでしたが、年を取ったせいか、もう何とも思わなくなっちゃいました(笑)。

まぁ、DLCを入れた事でゲームの面白さが失われるって話も聞かないし、時短したい人に対して選択肢を用意してくれていること自体は全然悪い事じゃないので、これはこれで良いと思います。

ただ、「ソードアートオンライン」のコラボDLCは内容の割に高いなーって思いました。

今後も応援したいと思える良作でした

色々細々と書きはしましたが、総合的に見れば間違いなく良作で、万人に自信を持ってオススメ出来る1本になっています。特に、3Dグラフィックの美麗さ・バトルシステム・レベルデザインに関しては、かなり秀でたものを感じたので、今後のシリーズの発展にも期待できそうです。

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