「アンチャーテッド」シリーズ等で有名なスタジオ『ノーティドッグ』最新作『THE LAST OF US PARTⅡ/ザ・ラスト・オブ・アス2』をクリアしました。
現在進行形で荒れに荒れまくっている本作ですが、個人的に思う所があったので、今更ながらレビュー記事をあげさせていただきました。
皆が待ち望んだ『ラスアス』の続編は、我々の記憶と心に大きな爪痕を残す作品でした。
©2013, 2014 Sony Computer Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog LLC
THE LAST OF US PARTⅡ・概要
ジャンル |
アクションアドベンチャー |
クリアまでの時間目安 |
20~25時間 |
オススメポイント |
超リッチなゲーム体験 気持ちをガクッと落とせる 攻めに攻めたストーリー |
ゲームプレイに関する評価・面白さ
操作性等、ゲームプレイに関わる部分に対する不満は少ないですが、強いて言うなら想像していたよりもずっと難しいゲームでした。
1もそれなりに難しい部類のゲームだった記憶はありますが、本作はその2~3倍は死にます。
操作性が悪い訳でも即死が多い等では無く、ナチュラルに難しくて死ぬ。
陰鬱で救いのない終始ダウニーなストーリー展開+高難易度のコンボは中々にメンタルをえぐる(しかも長い)ので、これが理由で心が折れてしまう人も中にはいるかもしれません。
ただでさえ辛いストーリーなのに、ゲームプレイ部分も辛いってなると流石にしんどすぎるので、少しでも「キツイな…」と感じたら難易度を下げる事をオススメします。
ストーリー部分に関する評価:とにかく辛い
荒れに荒れまくっているストーリー部分。何故こんなにも『ラストオブアス2』は辛いのか?の核にあたる部分なので、ここはじっくりと語っていきます。
個人的にも滅茶苦茶辛かったですが、ただ辛いだけの作品ではないって事は伝えたい所。
予想通りのストーリー展開が辛い
前作の終わり方から想像できる展開はあらかた用意されていて、コチラの予想を超えてくる事はほとんどありません。しかし、そこを圧倒的な表現力と演出で見せつけられることで、覚悟の有無なんて無視して全力でぶん殴られるのが本当に辛い。
「まぁ、そりゃそうなるわなぁ…」って展開なのに、それを脳と心が拒み続ける体験の連続。
『ラストオブアス』を深く愛し理解している人ほど、この体験は辛いかもしれません。
ジョエル絡みの展開が予想外だったという声もありますが、私は覚悟していた側の人間なので意外な部分は特にありませんでした。(逆にそれが良かったのかもしれませんね…)。
敵を倒すことが辛い
アクションゲームにおいて、雑魚キャラたる敵キャラを必要以上に掘り下げるとどうなるのか?その答えは『ラストオブアス2』の中に全てありました。
全ての敵に名前が用意されており、それら全てが仲間・恋人等、それぞれの関係を築いている。
時に声を掛け合ったり、見えざる脅威に恐怖したり、仲間の死を悲しんだり。…そんなやりとりを目の当たりにする内に、プレイヤーは一つの疑問を抱く事になります。
「確かにコチラには『復讐』という大義があるが、それは相手も同じなのではないか?」
自らの『復讐』を遂げる為に、新たな『復讐』の火種を生み出すという行為。この止まらない『復讐』の連鎖こそが、『ラストオブアス2』を構成する大きな要素になっています。
ストーリーの展開的にそれを示す事は勿論、それ以外の部分でも”それ”を強く意識させられる作りになっており、結果的に”敵を倒す事が辛い”=”アクションゲームとしての爽快感の欠落”を生み出していると筆者は感じました。
しかしそれは、『復讐の螺旋』というテーマを選んだ以上避けられない事であり、『ラストオブアス2』というゲームを成す為には必要不可欠な要素でもあります。
とにかく辛い体験ではありましたが、終わった今となっては自らの目で確かめられて良かったです。
描かれることのなかったジョエルとの日々:飴と鞭が辛い
要所要所で挿入される過去回想の数々。…これが本当に憎い。
思い出の中で描かれるジョエルとの日々は、本当に暖かく尊いものでした。しかし、それと同時に、抗う事の出来ない未来という現実が我々の心を砕くのです。
勿論、思い出の中にも酸いも甘いもある訳で、知りたくなかった辛い事も沢山目の当たりにさせられます。
思春期の父と娘なんて一般家庭でもうまく行かないのに、こんな特別な事情を持つ元他人の二人が、順風満帆に関係を築き続けるなんてそれこそファンタージですもんね…。
見出しに”飴と鞭”と書きましたが、過去回想シーンも半分くらいは鞭だったりします。特に後半以降は辛い事ばっかりで、単純な癒しなんてものはありゃしません。
しかし、少しずつ懸命に歩み寄ろうとする二人のやりとりを見ていると、やっぱり苦い笑みや安堵がこぼれてしまいます。そしてその度に、「あぁ、自分は本当にこの作品が好きなんだなぁ~」と実感させられるのです。
一方通行の『復讐劇』ならどんなに楽だったか…
過度なネタバレは避けたいので深くは語りませんが、一方通行の『復讐劇』ならば、評価がここまで荒れる事はなかったと思います。
しかし、あえて荒れる道を選び、双方向の『復讐劇』となる事を選んだ。…この判断が正しかったかどうかは、プレイヤー各々の心に委ねられる部分ですが、少なくとも私はこの判断を称賛します。
「うぉぉぉ!許せねぇ!」と拳を振り上げたのに、その拳を振り下ろす先を見失うもどかしさ。
…ここにモヤモヤしてしまったプレイヤーの気持ちは痛いほど理解できます。
ゲームじゃないと描けないが、ゲームで描くには重い作品
『復讐の螺旋』を描く上で、ゲームは持って来いの媒体であると確信すると同時に、これはゲームで描くには重すぎる物語である…と、悟ってしまうジレンマ。
結局どうすべきだったのか?答えを示す事はできませんが、「このゲームが嫌われても構わない」という意志の元に、このストーリーを提示した開発スタッフに、私は敬意を払いたいです。
しかし、だからと言って、本作に不満を抱いている人の意見に対し、「分かってないよ!それは間違っている!」と言うつもりも微塵もありません。
本作を受け入れられた人も、そうじゃなかった人も、皆それぞれ『ラストオブアス』が好きだった。…そこに大きな差や嘘はないはず。
本作は、これから5年10年と語り続けていく作品だと思うので、振り返ってみた時に自分がどう感じるか?も含め、大切にしていきたい作品です。
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