唇ガサガサの石原さとみの怪演が光る!映画『ミッシング』レビュー
舌打ち、発狂当たり前!石原さとみが壊れる!
石原さとみのトレードマークとも言える美しい唇がガサガサに!
予告の段階で気合の入った役作りをしているのは伝わってきてましたが、まさかここまでとは……。
石原さとみのトレードマークとも言える美しい唇はガサガサに、透明感のある髪はボロボロに、エゴサしたら舌打ちするし、急に発狂し出すし、もう逆に怖い位のキャラ作りでした。
愛娘を失った母の境遇を考えると、半狂乱になるのは納得なのですが、あの美しさの化身みたいな石原さとみがボロボロになって行く姿はもう観てられませんでした。それと同時に、美しいものが壊れていくえも言えぬ背徳感もあって、もう感情が空中分解寸前って感じ!
特に中盤の警察を装った悪戯電話のシーン、あれは駄目だよ。
あの夫婦がどんな気持ちで警察に駆け込んだか、考えただけで気分が落ち込むんですが……。
そりゃ腰も抜けるし失禁もするわ!
あと、美羽ちゃんのビラに画鋲をうったやつ、絶対に許さねぇからな(マジギレ)。
髪色による時間経過演出が秀逸でした
作中時間で3年位の年月経過が描かれる本作ですが、その経過が石原さとみさん演じる主人公の髪色で表現されているのも秀逸でした。
徐々に徐々にプリンになって行く髪色、カラーどころかカットにすらまともにいけてない事が伝わってくるコンディションの悪化によって、時間経過がうまく表現されていました。
時間経過だけでなく、精神状態・金銭事情等、キャラクターを取り巻く状況の変化を、言葉以上の説得力を持って表現していた要素だと思います。
青木崇高、中村倫也等、脇を固める俳優の演技も素晴らしい
どうしても石原さとみさんの怪演に注目が行きがちな本作ですが、脇を固める俳優陣の演技もかなり良かったです。
特に、旦那役の青木崇高さんと記者役の中村倫也さんの『静』の演技が光っていて、その演技があったからこそ石原さとみさんの『動・狂』の演技がより際立つ結果に繋がったんだと思います。
「こんな事になってるのに何でそんなに冷静にいられるの?」
普通に生活していてもこういう感情を持つ事は多々あるので、これはかなり共感値が高かったです。
妻を支えんが為、自分だけは冷静でいようと努める夫。時折見せる涙、感情の決壊。タバコを吸いながら涙するシーンでもらい泣きした人も多いのではないでしょうか?(あれは泣く)。
シリアスシーンにぶっこまれる空気の読めないネタ
意図的にぶっこまれる空気の読めないネタの数々。
例えば、ドキュメンタリー用の映像を撮っている最中に、その言葉の一部が虎舞竜の歌詞っぽくなってしまったシーンとか、明らかに狙ってやってるんですよね。
これ、普通ならノイズになるはずなんですが、何故かそんなに不快じゃなかったんですよね。
終盤、姉弟で久々に会話するシーンで流れる『blank』の新曲の間の悪さとか、滅茶苦茶肉めいてて逆に笑うしかないんですけど、こういう間の悪さや空気読めない流れって現実でも実際あるなぁ……って思っちゃって、なんかリアリティの底上げに貢献してる気すらしました。
これを狙ってやってるってんだから田監督凄いっすねぇ。
吉田監督の過去作も観てみたくなりました
『銀の匙』と『ヒメアノール』位しか観てなかったので、この機会に他の吉田監督過去作も観てみようと思います。とりあえず『空白』と『神は見返りを求める』をネトフリで観てみようかなぁ……。
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