幻想的な灰色な世界観と型破り過ぎる物語とギミックの数々で、ある種の伝説を作り出した「ニーア」シリーズ(ゲシュタルト/レプリカント)最新作「NieR:Automata(ニーア オートマタ)」をクリアしました。
前作同様、周回する事で展開が変化し、少しずつ物語の全景が把握できる作りは健在で、本作でも最低4周はクリアしないと真の意味でエンディングを迎えた事にはなりません。
こう聞くと、ファン向けでかなりハードルが高いゲームに感じるかもしれませんが、分岐の仕方も明瞭かつ大きく変化するので周回と言っても作業感はほぼなく、最初からエンディングまで(真の意味での)飽きることなく走り抜けられる作品に仕上がっています。
「ニーア オートマタ」の魅力は2Bの可愛さ・美しさ・パンツだけでは断じてない!
業界のトリックスター「ヨコオタロウ」氏の世界観とそれを支える技術力(プラチナゲームズ)が合わさって最強に見える!
純粋に面白くって考えさせられる…絶対に見逃してはならないアクションRPGがここにある…。
∇ゲーム情報・クリアまでの目安
- プレイ環境:【PS4】
- プレイ時間:【40時間前後(3周+α)】
- 公式サイト:【NieR Automata(ニーア オートマタ)】
世界観・ストーリー・キャラクターがプレイヤーの心に刻まれる
人類側のアンドロイドとエイリアン側の機械生命体が地球を舞台に終わりの見えない抗争を繰り広げるというのが、本作の本筋。
アンドロイド側の実戦部隊(ヨルハ部隊)に所属する2B(美女)とそれをサポートする9S(少年)が、その抗争の中で何を見、何を聞き、何を知るのか?
感情を持つ事を抑制されたアンドロイドと機械生命体の相剋の中に芽生えるドラマの数々は、プレイヤーに強烈な印象を刻み込み、時として様々なメッセージを投げかけてきます。
何だか小難しそうに感じるかもしれませんが、訴えんとする事は、愛や友情や憎悪など人間の根源的な感情についてなので、難しく考える必要はありません。
ただひたすら感じれば良い…ただそれだけです。
廃墟マニアには堪らない無機質の中の有機感
機械生命体の侵略によって荒廃しきった地球は、もうすっかり灰色へと染まってしまいました。
かつて子供たちの声で溢れていた遊園地、崩落したマンモス団地や高速道路等々、廃墟マニアには堪らない灰色に染まった無機質たち。そして、その中に活きずく動植物の営み。
そういう廃墟要素にビビビっと来る人なら、広大な灰色のオープンワールドを歩くだけで興奮できるはずです!
無機質の中に感じられる有機感…この感覚プライスレス!
声優陣の熱演も素晴らしい
主人公2Bを演じた石川由衣氏、9Sを演じた花江夏樹氏等々、声優陣の演技も素晴らしかったです。
中でも、戦う事を放棄した機械生命体たちの村を作り、子供たちを見守る村長パスカル役を演じた悠木碧氏の熱演はキャラクターの良さや演出も相まってかなりグッときました。凄く悲しいエピソードなんですけどね…
どのキャラクターも捨てがたいですが、ベストキャラクターを1人選ぶとしたら恐らく筆者はパスカルを選ぶと思います…。
配役で一つだけ残念な事を挙げるとすると、「DOD」「ニーア」シリーズ皆勤賞だったピーター氏が本作には参加されていない事ですかねぇ~(まぁ、ドラマCDとかでも大人の事情で参加してなかったしなぁ~残念だけどショウガナイね…)
周回前提の複雑で奥深いストーリー
冒頭にも書きましたが、本作は周回するごとに物語の展開が変化し、徐々に謎が明かされていくという構成になってます。
この仕様を面倒と感じるか面白いと感じるかはプレイヤー次第ですが、周回する事を前提に作られているだけあって、周回時の作業感やマンネリによる飽きへの配慮はかなり徹底されています。
2周目以降はゲームのテンポも上がるので、夢中になれば恐らくあっと言う間!
そもそも、ここまで散々周回と書いてはいますが、プレイ時は周回しているって感覚は一切なかったです。これ以上書くとネタバレに抵触するのでアレですが、同じお話を何度もやらされる…というものではないので安心してください。
細かいものを合わせると合計20を超えるエンディングの数々
アクションRPGでエンディングが20個以上あるって聞くと「正気ですか?」と、思わず疑いたくなりますが、実際にエンディングは20個以上存在します。
ただし、それは細かいものも合わせてなので、クライマックスという意味でのエンディングは5つくらいです。(それでも多いよねw)
これはちょっと不満点に繋がる話し(終わった後なら笑い話)なのですが、ちょっと脇道にそれたり選択を間違っただけでいきなりエンドロールってのも多々あって…不意に戻し作業を要求されるシーンが結構ありました。(オートセーブじゃないからね…プレイしてる時は結構辛かったw)
プラチナゲームズのおかげで昇華されたアクションシステム
「ニーア レプリカント/ゲシュタルト」との最大の違い…それは、『プラチナゲームズ』が製作に携わっているという事!
前作はどことなく味のあるモッサリ感とクセになるヒットストップが印象的なアクションRPGでしたが、(あれはあれで筆者は結構好きw)本作は『プラチナゲームズ』が作ったって事でアクションのスタイリッシュさが格段にアップしています。
「ニーア」シリーズ最大の弱点と言われたアクション部分が改善された事はかなり大きな変化だったはずです。結構広いオープンワールドもシームレスで快適に遊べるので…やっぱり『プラチナゲームズ』の技術力は本物だな!と再確認させられましたね~
キャラクターのモデリングも美麗で、操作性も良好なので安心して遊べます。
くどいレベルで挿入されるシューティングゲームは賛否両論!?
今までのシリーズでもいきなりゲームジャンルが変化する手法はとられていましたが、本作では何かにつけてシューティングゲームパートが挿入されます。
演出以外の部分でもハッキングスキルなどでシューティング(ミニゲーム)をさせられる上にシューティングゲームというジャンル自体が苦手って人も一定数いるので、このシューティング部分は賛否両論になってます。まぁ、確かにくどさは感じましたが、筆者はそこまで気にならなかったですね~
メーカー繋がりで何となく「アインハンダー」を思い出しながらプレイしていましたw
チップのカスタマイズは雑多だが自由度が高く面白い
敵撃破のドロップや味方の残骸(オンライン要素)などからゲットできるチップ類の数々、これらを自由に組み替えてキャラクターをカスタマイズしていくシステムは面白いのですが、かなり雑多で難解。
一応、攻撃・バランス・守備と大まかな設定でおまかせセッティングできるので、困る事はありませんが、面白いシステムだけに少し勿体ないなぁ~と感じました。
色々考えだすとスルメなんですが、最初に面倒と思ってしまうと最後まで面倒で終わりそうなのが残念です。
ヨコオゲーとは思えない程に色々と親切
滅茶苦茶失礼な話ですが、ヨコオタロウ氏が指揮したゲームとは思えない程に色々と親切なゲームに仕上がっています。
中でもクエスト消化とかアイテム収集とか…随所に配慮が感じられて感心の極みです。
ウェポンストーリーも設定資料集買わなくても読めるし…最高やなぁ~
だけどセーブはこまめに頻繁に!
スゲー親切に作られた作品と言いましたが、セーブ機能に関してだけは要注意!
オートセーブが当たり前になりつつある近年のゲームの中で、男気たっぷりのセルフセーブオンリー!
しかも、画面の右上にセーブ可能ってメッセージがチラチラ出る事で、オートセーブされている錯覚に陥るっていう(筆者だけかもしれない)。
結果的にこのセーブ機能が物語の設定的に活きてくるので巧いな…とは感じましたが、これのおかげで何度か戻し作業が必要になった事は2か月くらいはたぶん忘れないと思います。
飽きさせない工夫を随所に感じる
作業的な物も中にはありますが、サブクエストの質も高く、見返りもきちんと美味しい。
武器収集・強化後のウェポンストーリーやアーカイブス収集で紐解かれていく世界の真実等、やり込み要素も豊富!
クリア後にはチャプターセレクトができるようになったり、デバックモードが出現したりと遊び心満点のおまけの数々!!
至る所に感じる飽きさせない為の工夫の数々…恐れいりました。
クエスト消化等もクリア後のチャプターセレクト機能を使えば楽々です。勿論、エンディングの回収も捗りますね…(筆者もこれを書いたら回収作業に入りたいと思います。)
ただし、Eエンドにだけは気を付けてね(ニッコリ)
一度プレイすれば忘れない…そんな強烈な作品でした
「DOD(ドラッグ・オン・ドラグーン)」「ニーア」シリーズに、謎の敷居の高さを感じる人も多いとは思いますが、本作に限っては、初めて触れるユーザーへの配慮もきちんと行き届いているので、尻込みする必要は全くありません。
流血など過激な描写が多いゲームではありますが、プレイすると心と頭に刻まれて忘れられなくなる…そんな劇薬とも呼べる強烈な個性を持った作品である事は事実です。
エンドロールも含めて油断ならない展開の連続…忘れられない体験をしたいのであれば、かなりオススメな一本です。BGMやSEも必聴なので、ヘッドホン着用でお楽しみください。
素晴らしいゲーム体験を、本当に…本当にありがとうございました。
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