賛否両論で話題沸騰中の『シン・仮面ライダー』を観てきたので、「このビッグウェーブに乗るっきゃねぇ!」ってノリと勢いでネタバレアリのレビュー記事を書いてみました。
最初に言っておきますが、割と『否』寄りの感想を抱いているので、そういう感想を読みたくない人はブラウザバックで( `・∀・´)ノヨロシクお願いします。
あと、語るに際し、筆者の『仮面ライダー』遍歴等も重要になって来ると思うので、最初にそこを軽く触れておきます。
シン・仮面ライダー感想
シン仮面ライダーの良かった点
まず最初に良かった点を6点ほどご紹介。
割と『否』寄りの意見を抱いてはいますが、良い所はちゃんと良かったので、そこは声高に紹介しておきたい所。
庵野監督の超濃厚仮面ライダー愛をぶっかけられる作品
「これでもか!」ってレベルで展開される庵野監督による仮面ライダー愛!
特に冒頭とか、最早テレビ初代の完コピと言わんばかりのカット割りや演出の数々で、庵野監督と同世代の人や、熱狂的なファンの方は、もう興奮しっぱなしだったんじゃないでしょうか?
―――まぁでも逆を言えば、知識が無いと楽しめない要素がかなり含まれているので、ここが賛否を生んでいる最大の要因なのかなぁ……とは思います。
ちなみに、筆者は視聴前にYOUTUBEで無料公開されている初代の第一話を観ていたので、「アッ!これは!!!」って感じでテンション上がりました。
絵力を感じる素晴らしいロケーションの数々
「よくこんな所見つけたなぁ……」と思えるロケーションの数々が印象的で、特に蜘蛛オーグとの決闘場所とか、マジで50年前のテレビ第1話と瓜二つのロケーションで驚きました。
それ以外にも、要所要所で印象的な風景が登場するので、視覚的な面白さはかなり強い作品に仕上がっていると思います。
BGM・SE等の音の力がとにかく強い
「あと、音。音の力がマジで強い!」
BGM・SE・主題歌に至るまで、「これぞ仮面ライダー!」って印象深い音の数々が、終始耳を楽しませてくれます。エンドロールまでチョコたっぷり!ここにも愛が感じられましたね。
スーツ・バイクなどの美術がとにかく格好良い
ライダースーツ・サイクロン号など、美術・小道具は本当に格好良かったです。
仮面ライダーの命である仮面への思い入れもちゃんと伝わってきたし、髪や首筋が出るビジュアル感も最高にイカしてて、ここに関してはマジで文句なし!サイクロン号が変形・ベルトのギミック等、随所から拘りが感じられて本当に格好良かったです。
あと、敵の怪人のデザインもスタイリッシュになっていて、仮面ライダーと同じ技術・境遇だが、立場の違う『敵』であることが、デザインとして伝わってくるのも良かったですね。
緑川ルリ子役:浜辺美波さんがとにかくカワイイ
浜辺美波さん、雰囲気あり過ぎ!可愛過ぎ!
用意周到な女も、時には他人の胸を借りて泣きたくなるのだ!そして、程よくデレたり、目の前で着替えたりするのだ!……うん、浜辺美波さんのファンは、もうこれだけでも見る価値はあるね。
一文字隼人役:柄本佑さんはとても良かった
キャスティングで言えば、一文字隼人役の柄本佑さんの演技や雰囲気が滅茶苦茶良かったです。
―――これ、ちょっと主人公である本郷が食われるレベルだったので、逆に心配になりました(笑)
でも、本郷猛役の池松壮亮さんも、コミュ障の本郷猛というお手本の無い役を見事に演じていたので、総合的に見て、俳優陣の演技・キャスティングはかなりレベルが高かったと思います。
シン・仮面ライダーの不満点
ここからは不満点を6つご紹介。あと、CGは邦画の平均水準って感じだったので、そこにはあえて触れていません。
展開が早すぎて感情の置いてけぼりを喰らう
冒頭からジェットコースターみたいなテンポで進む為、感情の整理が全く追いつきませんでした。
まぁ、1クール分位の内容を2時間に詰め込んだらそりゃそうなるだろ……って話なんですが、セリフも早いし専門用語も飛び交うしで、もうついて行くので精一杯なんですよね。
―――なので、感情移入とか共感とか、そういうラインに立つ前に作品が終わってしまったってのが率直な感想で、正直、ストーリーに関してはあんまり語る事がありません。別段、真新しい事をやっている訳でもないですし、なんというか、仮面ライダーの新作PVを見てたって感じでした……。
スピンオフ漫画との連動要素が濃い。読んでないと置いてけぼりを喰らう
▲1巻を読んでおくと割と受け入れやすい。あと、漫画は結構面白い。
ヤングジャンプで連載中の『真の安らぎはこの世になく -シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE-』を読んでないと置いてけぼりをくらう要素が多かったのも気になりました。
―――というか、読んでない人への配慮で説明過多にならざるを得なくって、結構退屈な説明シーンに尺をとられちゃってましたね。漫画読んでないと『K』とかも意味不明だし、正直良くない。
ここまで連動するなら、鑑賞前にサラッと把握できる小冊子とか配布すべきだと思いました。
テレビ版本郷猛のキャラ像との乖離がでかい
本作の本郷猛は、優し過ぎる男って雰囲気が強く、終盤吹っ切れるまでずっと泣き震えながら戦っている様な感じなんですが、それがどうしても本郷猛のイメージにはハマってくれませんでした。
恐らく、本作独自の全く新しい本郷猛像を生み出そうとしたんでしょうけど、やっぱりテレビ版の心身共に逞しい屈強な男ってイメージとの乖離はどうしても気になりました。
壮絶な背景や境遇を考えれば、苦悩し、震え、仮面の下で泣いている悲哀のライダーがいても別に全くおかしくはないんですが、やはり藤岡弘さんのイメージは大きすぎましたね。
何となくエヴァのシンジ君っぽさを感じるキャラ像で、そこもちょっと気になってしまいました。
専門用語が滅茶苦茶多い。パリハライズって何だ!?
プラーナ、ハビタッド、パリハライズとか、専門用語が滅茶苦茶多いのも気になりました。
まぁ、プラーナとハビタッドとかは実際にある言葉だからまだいいですが、パリハライズって完全に本作独自の造語らしいので、これをちゃんとした説明なしに連打するのはいかがなものか?
いやまぁ、見てたら何となくフィーリングは伝わってきますけど、「本当に必要?」って感じではありました。普通に「正気に戻す」で良くない!?
暗所での戦闘が多く、状況が把握し辛い事が多々ある
筆者の視聴環境が良くなかったのかもしれませんが、暗所での戦闘がやたら多くて、ぶっちゃけ何やってんのか分からないシーンがいくつかあったのが残念でした。ショッカーライダーとのバトルシーンとか、暗所での発光自体はカッコイイけど、もう少し明るい所でも見たかったです。
あと、これは映画全体を通して言える事なんですが、iPhoneで撮影した部分とそうじゃない部分の落差が激しく、映像の切り替わりで没入感を大きく削がれます。面白いアングルや臨場感を感じるシーンは確かにありますが、それの反動で映画自体が観辛くなっているのでは本末転倒な気がします。
ちょっとキューティーハニーを思い出しちゃった
私だけかもしれませんが、庵野監督の過去作である『キューティーハニー(実写版)』を滅茶苦茶思い出しました。まぁ、別に『キューティハニー(実写版)』をディスリたい訳ではないですが、セルフパロみたいなシーンがやたら多く、ちょっと集中力を削がれる事が多かったです。
サソリオーグのシーンとかモロに『キューティハニー(実写版)』だもんなぁ……。
総評:面白くは無いけど嫌いじゃない
点数を付けるなら100点満点中70点って所でしょうか?
ちょっと期待し過ぎてたってのもありますが、個人的には『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』程の興奮は無かったかなぁ……ってのが率直な感想です。勿論、駄作って程では無いんですが、『シン・ゴジラ』の様な大衆向けの作品を期待して観に行くものではないっすね。
―――まぁ、『シン・ゴジラ』みたいな作品を勝手に期待した私が悪かったのかもしれませんねぇ……。
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