【モーテ-水葬の少女-/感想・レビュー】「ファタモルガーナの館」の『縹けいか』小説デビュー作!

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今年は少しでも積み本を消化していこうという事で、【モーテ-水葬の少女-】を読みました。タイトルには小説デビュー作とありますが、他社さんから「ファタモルガーナの館」のノベライズ版が発行されているので、正確には『オリジナル小説デビュー作』です。(長年PCのHDD内で温まっていた執念のこもった?渾身のデビュー作でございます!)

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モーテ-水葬の少女-

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小説情報

 

あらすじ

遺伝子の罠――数万人に一人が罹り、必ず十代の内に自殺へと追い込む奇病・モーテ。秘密と不穏に満ちた孤児施設・ドケオーに送られた少年・サーシャは、大 人への憎しみを抱き、孤独に生活していた。そんな彼の前に、マノンという美しい少女が現れる。マノンとの仲が近づくにつれ、彼女の相談役・フォスターであ る気味の悪い男・ドゥドゥが、マノンを傷つけているのではないかと疑問を抱く。サーシャはマノンを助けるために、大きな決断をする。しかし、その裏には驚 くべき事実が隠されていた。誰もが望まない、約束された自殺へと誘う「モーテ」が、孤児施設と彼らの背景に横たわっていて……。絶望的に純粋な”絆”の物 語――この世界に、奇跡は存在しますか?

イラストは『薄桜鬼』シリーズなどの「カズキヨネ」

薄桜鬼
私自身は『薄桜鬼』シリーズをプレイした事はありませんが、確かに美麗なイラストをお描きになられる方ですね。ジャケットに惹かれて購入した人も多そう!

重要な3つのキーワード

モーテ

肉体的にも精神的にも健全なのに死(自殺)に至ってしまう奇病。生きたくても自ら命を絶ってしまう異端の自殺者。

ドケオー

表向きは、ヨーロッパの各所で経営されている孤児施設。しかし、その実態はモーテと深く関わっている。

フォスター

ドケオーに暮らす子供達の保護者兼相談役。

舞台装置としての「モーテ」

本作には謎の奇病「モーテ」が本編に深く関わっている。しかし、「モーテ」自体はあくまで舞台装置の一つであり、それが原因で生じる絶望や心の葛藤を表現する為のファクターにすぎない。「モーテ」とは何ぞや!?っていう事をこねくり回す作品ではないので、そこは注意してほしい。

前・後半でガラリと変わるストーリー

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途中で物語の視点が変化するため、ストーリーもそこからガラリと変化する。物事を一面だけで判断して、誤解してしまう事は現実でも実際に良くある事ですが、それを巧みに利用した叙述トリックでした。見る面次第で、世界はこんなにも変化するんですね…。

両サイドの視点から物語を多面視できるという点では、ゲーム的と言えるかもしれませんね。

安心の「縹けいか」クオリティ

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「ファタモルガーナの館」や「セブンスコート」をプレイした方にはわかると思いますが。絶望の中にある一筋の光みたいなものを表現するのが非常に上手な方です。あとがきにて自身は「ピュアッピュア」って書かれてらっしゃいますが、実際にそうなんでしょうね。私の中では「闇を抱えたロマンチスト」ってイメージですw

確かにヘビーな物語なんですが、本質はあくまで、「絆」と「愛」の物語です。「読んでスッキリ爽快!」って内容ではありませんが、読み終えた後、きっとあなたの心に何かが芽吹く。そんな作品。

「 縹けいか」先生の作品に登場する男性キャラクターって、卑屈で愛らしいキャラが多い印象なんですが、これって自己投影してるのかな…。「ピュアッピュア」だし有得るよね!?

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